夏の花1

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ツルハナナス

小塩 節(音楽之友社刊「ザルツブルグの小径」―音楽と食彩の旅―より抜粋)

ナス科ナス属 ツル性常緑低木
原産地 ブラジル
花期間 5月〜11月
別名  ソケイモドキ
 野草でヤマホロシという全国に分布している花にこのツルハナナスが似ているため、ヤマホロシという誤った名前で呼ばれたり、花屋さんで売られたりしていますが、ヤマホロシではありません。
 花はルリヤナギよりやや薄い青色で咲き、日にちが経つと白い色に変化していきます。丈夫で毎年春から晩秋まで爽やかな花を咲かせています。アーチや塀などに這わせるのがよいと思います。

小塩 節(おしお たかし) ドイツ文学者 エッセイスト 元駐ドイツ公使 教育者
                ドイツ文学の翻訳書、研究書、随筆など多数の著作あり
                1931年生まれ 長崎県出身 

味の華

ザルツブルクの小径            小塩 節

神戸市諏訪山花と緑のまち推進センターにて
2007年10月30日


作り方

レシピ

材料(4人分)

仔牛ロース肉(一枚120g)   4枚
(なければ通常の脂身の少ないロースまたはヘレ肉)
玉子                2個
塩                 少々
小麦粉              適量
パン粉(細かい粒状のもの) 160g
サラダ油    2分の1カップ(100cc)
バター                大さじ2
白ワイン            大さじ4
レモン(立て切り4等分する)  1個
クレソン              適量
人参のグラッセ(or拍子切り)   1本

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*昔、学食で食べたワラジ大のカツを懐かしく思い出すような形をしています。
 学食の肉の中味は馬肉や豚肉だったのですが、これは牛肉ですので柔らかく
 おいしく食べられます。
 現在、本場のウィーンではこれとワイン1杯とサラダ付きで約3000円ほどです。

ウィンナー・シュニッツェル(ウィンナー風牛肉のカツレツ)

前作業(人参のグラッセ作り)
 人参を3等分し、食べやすい大きさに縦割りにし、角を取って、
 たる型にする(シャトー切り)。面倒なら拍子切りでもよい。
 これをフライパンでバター炒めし、小鍋に移し約水200ccとブイヨンの素を
 入れ、塩小さじ2分の1と砂糖大さじ1(肉用とは別量です)を加えて、
 弱火で約15分ほど柔らかくなるまで煮て、グラッセを作っておく。

@肉を肉たたきで倍くらいまでのばす。いわゆるワラジ大の大きさに。
 のばしたら硬いスジを包丁の先で切って揚げたときの縮みを防ぐ。
 塩を片面にふる(好みで塩コショウでもよい)
Aパン粉はミキサーで細かくしておく。
Bボールに玉子を割りいれかき混ぜておく。
C叩いた肉に小麦粉をまぶし、溶き玉子をくぐらせ、パン粉をつける。
Dフライパンにサラダ油を入れ加熱し、高温になるまえにCのパン粉づけ
 の肉を入れる。裏返しながら両面をこんがりキツネ色になるまで焼く。
 衣にほどよく焼色がついたらサラダ油を捨て、バターを入れ溶かし、
 両面にからませる。仕上げに白ワインをふりかけ、火を止める。
E大きめの皿に盛り、人参のグラッセを飾り、クレソンを載せる。
 食べるときにレモンを絞りかける。

 岩塩(ザルツ)の鉱脈を地底深く走らせ、硬い岩盤の上に、ドイツ的清潔さと堅牢さにイタリア的な明るさを取り合わせた、地上の珠玉と呼ぶしかないこのザルツブルク。  ヴォルフガング・アマデーウス・モーツァルトは、ここに生れて育った。 ここでしか生れることはありえなかった。彼の幼い魂はここでその原型を刻まれた。
 ヨーロッパの中央に位置し、北方性と南国風の明るさ、西方のロココと東方の土着性、都会の粋と南独の農村性、カトリックの厳格なしきたりとドイツ啓蒙の合理性、くり返しになるが、それらすべての上に朗々と鳴るチロルの山上の青く澄む空。ザルツカンマーグートの緑の沃野と澄み切った湖水群。 大オーケストラはなかったけれど、当時としては欧州の一流に達していた大司教宮廷と教会の音楽水準。父親の愛と教育。父の計画による旅。それらが彼を育てた。
 ・・・・・・(中略)・・・・・・
 音楽についてはついにど素人の私だが、幼いころからシューマンとフランクのピアノ、ブラームスのチェロ、ベートーベンの弦楽、バッハのオルガンとフォーレの『レクイエム』、シューベルトの歌曲などとともに一生を送ってきて、やはり無くてはならぬものがモーツァルトである。 ここには創造の世界と人間への、その醜さと悲傷にもかかわらず、それらをいっさい逆転させてしまう限りない愛がある。 人間の生の根源にひそかにひそんでいる富と権力への意志や、憎悪と恨みと殺意を、はるかに超えていく、強い愛がある。ただの軽い美しさではない。
 ・・・・・・(中略)・・・・・・
 ――そんなことを思いながら、私がなつかしさにたえぬ思いで歩むもうひとつ別の道は、トンネルを抜けて城山の西に出てしばらくのところを南北に走っているモース通りである。名のとおり、昔は沼地だったのであろう、城山を左手に見ながらレーオポルトの池に向って走っている。
 さんざしの生垣が道の左右にどこまでも続いている。 赤や白のたくましい一重の花だ。 かってゲーテが「野バラ」と歌ったのは、このさんざし(ハーゲブッテ)のしげみだった。強い花だ。春から夏にかけて咲き続け、ザルツブルグ・フェスティヴァルの終わる頃に咲き終わる。
 そのしげみの生垣に白樺の並木も重なっている。わけもなく意味もなく、私はこの道を何度も行き来する。遠く左手にホーエンザルツブルグのお城が見える。時たま、右手の小さい空港にウィーンかフランクフルトからの小型機が着陸し、離陸していく。 こうなると口笛は映画『サウンド・オブ・ミュージック』の「エーデルワイス」と「ドレミ」の歌になる。
 やがて現れる森かげ、モース通りの終り近くの右手のひなびたモース・レストランがいい。素地の、クロースなしの卓に向かい、地もとのビールを一杯飲みほす。このあたりはあまりワインのできない風土だから、さわやかなビールが地酒だ(ベネディクト派修道院の酒蔵ザンクト・ペーターでは、なかなかいいワインが飲めるけれど)。
 川魚もいいが、バウアーン・シュマウス(農民料理)という、ワイン漬けの肉二、三種類をオーブンでじっくり焼いたり、油で焼いたものに、玉ネギとポテトのバターいため。赤キャベツがほのかに甘い。
ウィーナー・シュニッツェルもいける。分量の豊かさもうれしい。上品なものなら鹿の背肉の、こけももソース添え。
 デザートは、ザルツブルーガー・ネッケルレという名の、巨大なメレンゲ。

 人生観が丸くなる。旧市内で食べるより、車でほんの十五分も出てきたここは三分の二くらいの安さであることもうれしい。