夏の花1

HOMEへ

今日の花・味の華目次へ

季節の花・味の華ー冬の目次へ

ベニマツリ(紅茉莉)

西部劇でよく登場する牛の群れを率いての旅――あれはキャトル・ドライブというが、その一行には<チャックワゴン>と称する移動台所車が必ず随行し、コックとその助手(メリー・ジェーンと呼ばれる)が乗り込む。
 長旅なので積み込むものも、ギリギリ必要なものだけだが、その一角には必ず大型のオーブンセットが備えつけられている。
お釜は飯を炊く以外に、湯を沸かすか、石川五右衛門を釜茹でにするくらいしか用途がないが、オーブンはパンを焼く以外にもさまざまな料理や菓子づくりができる。
 食通の読者を前にオーブンの効能を語るのは釈迦に説法だが、パンを焼くときに要する高熱の余熱だけで豆料理ができる。
 豆類が豊富だったせいか、その高蛋白を好んだのか、余熱利用で手間がかからないからか、とにかく西部人は、豆料理をよく作った。料理方法も簡単で、水に浸してもどした大豆、グリンピース、トウモロコシのいずれかに、ベーコンを入れ、別に作ったチリソースをかけるだけでよい。
 豆とともにベーコンは西部人の大好物だった。ユージン・オニールの戯曲『楡の木陰の欲望』にも、因業親父にこき使われている息子たちが「ああ、ベーコンの脂でよ、口の端がギラギラするほど食ってみてえよ」と謳うように嘆くせりふがリフレーンされて、農民の憧れの食物であることを表わしている(反対に彼らが一番嫌がった肉料理はカツレツで、日本人と嗜好が逆だ)。
 オーブンの余熱で豆は皮が破けずに柔らかくなり、そこにベーコンから出た塩気と脂がほどよくしみる。うまい豆料理のコツは世界中どこでも、豆の皮を破かず柔らかく煮上げるところにあるのだが、パンを焼いた余熱がそれにピッタリなので、それほど苦労せずうまい豆料理ができる。コックの腕のみせどころはチリソースにあるが、西部では、髪の毛が抜けそうなほど辛ければ辛いほど喜ぶんだから、これもむつかしくない。
 と、いうわけでキャトル・ドライブの食事は豆料理が続く。しかし、いくら好物でも、それが三ヶ月も毎日毎日続けばうんざりしてくる。旅の終わりに近くなると、カウボーイの誰かが血相変えてコックにつめより、「やいテメエは豆料理しかできねえのかよお、こんなふざけたものが食えるかよお!」とかみついてくる。こういうときトレイルボスは、男の顔をジロッとみて「だれも食ってくれと頼んじゃいねえぜ、嫌ならよしな」と、ドスを利かせる。男は不貞腐れて皿に盛られた豆料理をコックからひったくるように持って行く。
 キャトル・ドライブを扱った西部劇の傑作に古くは『赤い河』(1948年)、近くは『男の出発(たびだち)』(1972年)がある。同じような題材の作品ながら、製作年数が四半世紀以上も違うせいか、話の構成も人物の性格も思想も両極端に位置するほど対照的なのだが、前述のような豆料理に辟易したカウボーイとコックのやりとりがどちらにもエピソードとして挿入されている。食い物の問題は思想を越えて共通なのだろう。

田中英一(早川書房「グルメのためのシネガイド」・『西部劇と豆料理』より抜粋)
       「グルメのためのシネガイド」は淀川長治・渡辺祥子と共著

田中英一  映画評論家 1930〜1981年

*ちなみに「西部劇私的博物館」さんの識者が選んだ西部劇50〜100選での人気は
 @昼下がりの決斗     A夕陽に向かって走れ   B大砂塵   
 Cリオ・ロボ         D帰らざる河         E荒野の決闘   
 Fウインチェスター銃73   G幌馬車(1950年)          Hペイルライダー
 I夕陽の群盗 黄色いリボン(同点)
ベストテンは以上のようになっています。懐かしいタイトルがならんでいますね〜!

アカネ科ベニマツリ属 常緑低木
原産地 パナマ、メキシコ、キューバなど
花期間 10月〜3月
鮮やかな紅みがかったオレンジ色の花と花芯部の黄色がきれいな花です。熱帯性の植物のため、温室で栽培されています。
 茉莉花(マツリカ)とはツル性の香りの良いジャスミンを指します。しかしベニマツリはジャスミンとは全く違う種類です。香りがする花には種類が違っていてもマツリという名前を付けたものがいくつかあります。ルリマツリハリマツリニオイバンマツリなどが、よく見かける花です。

*豆料理は世界中の人達に食べられている庶民の料理です。高級レストランではあまり出していません。このチリビーンズ(チリコンカン)は西部劇ではお馴染みの食べもので、テキサス州やカリフォルニア州などの西部諸州やメキシコなどでは熱烈な愛好者達がいて、毎年料理コンテストが行われるほどです。

大豆(水煮)またはキドニービーンズ(水煮)  約400g
合挽きミンチ肉                   約200g
玉葱 (みじん切り)                 1個
セロリ(みじん切り)                 1/2
トマト水煮缶                         1個
唐辛子                        1本
ニンニク(スライスする)               大1かけ
ローリエ                        1枚
チリパゥダー                      大さじ3
クミンシード                      大さじ1
コンソメキューブ                     1ケ
塩コショウ                        少々
ワイン(赤でも白でもよい)        1カップ   200cc
水                            2カップ   400cc
オリーブオイル                    少々  

レシピ

材料(4人分)

@深鍋にオリーブオイルを熱し、ニンニクスライスを入れ香りたったら
 唐辛子とクミンシードを入れ、玉葱のみじん切りを入れ透明感が出る
 まで炒め、つぎにセロリのみじん切りを入れて更に炒め、挽き肉を入れ
 塩コショウ少々を振りいれ炒め合わせる。
A挽き肉の色が変ったら大豆の水煮、ローリエの葉1枚とコンソメキューブ
 チリパウダーを入れ全体を混ぜ合わせ塩少々を入れなじませる。
B次にトマト水煮を加え、ワイン1カップを入れ水を2カップ(適量)入れる。
C中火で約15分ほど煮込み、時々かき混ぜながら塩で味加減を整える。
D汁気が少なくなったら完成です。そのまま食べるもよし、パンやトルテーヤ
 に挟んで食べてもピリカラのおいしいさが生きます。

作り方


大阪鶴見緑地公園この花咲くや館にて
2006年1月12日写す

チリビーンズ(チリコンカン)


季節の花・味の華ー冬の目次へ


味の華

西部劇と豆料理

写真はクリックすると1024×768ピクセルの壁紙サイズの画像がでます