夏の花1

馬刺(ばさし)

四〜五歳の肥えた馬の肉がよい。それも、草を食べている時分にと畜したものは肉が水っぽい。冬季、フスマやムギなどの穀物を与えてじゅうぶん肥ったあと、春にと畜したものが最上の肉となるそうだ。桜肉は桜時分に賞味するのがいちばん、ということのようだ。
 さて、食卓の上でお馬さんと再会の段。馬さし、馬肉ステーキ、桜鍋と、さても変りはてたお姿になったことよ。南無馬頭観世音菩薩と念じつつ箸をとったところ、お馬の霊魂が宿ったものか馬食鯨飲、食うわ、食うわ、いくらでも胃袋におさまる。おきまりの馬料理一式ではおさまらず、馬肉をミンチにしてもらい、卵、玉ネギのミジン切り、カラシ、塩、コショウ、サラダ油をかきまぜて即席のタルタル・ステーキまがいをつくってかきこむ始末。
 馬の脂肪は皮下脂肪に集まっており、牛肉のように肉のなかに脂肪が入りこんで霜降りになることは少ない。そこで脂肪を除去することが容易だ。ということは、コレステロールを気にする方にはもってこいの食品というわけになる。ともかく、脂肪のしつこさがないので、いくらでも食べられるし、繊維もやわらかく、かみやすく、舌ざわりがなめらかだ。おまけに蛋白質の含有量は獣肉中最高だし、ビタミンAも多量にある、といいことずくめだ。唯一の欠点はすこしにおいがあることだが、新鮮な馬肉では気になるほどのことはない。桜鍋はにおい消しの効用のある味噌仕立てが定法となっているが、この日はスキヤキ仕立てでちっとも馬肉くささがなかった。
・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・
 ヨーロッパ人が発明した馬肉の最高料理法は、馬肉のミンチを生で食べるタルタル・ステーキである。馬肉になじみがうすいし、信州や北九州でないと新鮮な馬肉が入手できないので、日本のレストランのタルタル・ステーキは牛肉の赤身を使用するのがふつうだが、本当のタルタル・ステーキは馬肉でつくるものだ。獣肉を生で食べるという一見野蛮、原始的である料理を恥じてか、あるいは馬肉を食べることのうしろめたさのてれかくしか、馬肉食用にタブーを持たなかった中央アジアの遊牧民であるタルタール人の名を料理名につけてしまった。
 伊那で馬料理一式を食べくらべての結論は、馬さしがいちばんうまい、ということだ。それは、やわらかく、舌ざわりのよい馬肉の持ち味を最高に生かした食べかたなのだ。おまけに馬肉には寄生虫が少ない。日本の馬さし、ヨーロッパのタルタル・ステーキは馬肉料理の双璧といえよう。

石毛直道(平凡社「食いしん坊の民族学」・『馬さしの周辺』より抜粋)

石毛直道 民族学者 文化人類学者 国立民族学博物館元館長
       1937年生れ 千葉県出身
       世界の民族の生活文化・食文化に詳しく、関係著書多数

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ラケナリア


アロイデス・
クアドリカラー

ムタビリス
花の文化園

ヴィリディフローラ
花の文化園

スプレンデイダ

アロイデス・
アウレア

近年、馬肉料理は脂肪分が少なく栄養価も高い料理として人気が高まっています。馬肉料理の中でも馬刺=馬肉の刺身は、そのあっさりした味と見た目と異なる意外な柔らかい食感で特に人気があります。食用に肥育され販売されている馬肉は臭みもほとんど無く食べやすい食材です。デパートの食肉売り場でも羊のラム肉とならんでよく売れる食材になってきています。またインターネットでの通販では熊本県や長野県、岩手県、北海道などの業者がチルドパックにして販売しています。
(馬刺用の肉)
  霜降り肉は主にアバラ部分の肉で100gあたり1200円〜2000円程度です。
  赤身肉はロース部分が100g1200円前後です。モモ肉は100g600円〜800円です。
  また赤身の刺身に挟んで食べるタテガミは首のタテガミ部分の脂肪を薄く切った
  ものです。アッサリした味が食通に好まれています。
(刺身の作り方)
  食べやすい大きさの大きな短冊形になったものを、肉の繊維を縦方向に切ります。
  厚さは2mm〜3mmくらいが適当です。
  大皿に玉ネギを薄くスライスして水にさらしたものを敷き、青じその葉をその上に
  並べ、切った刺身肉を斜めにして置きます。フグ刺しのように円形にきれいに並べ
  ると見た目もきれいです。
(付けダレ)
  専用の付ダレが販売されているのを使ってもいいですが、自分の好みで醤油に、
  ワサビ、ショウガのすりおろし、ニンニクすりおろしなどで食べるのも美味しい。

ユリ科ラケナリア属 球根植物
原産地 南アフリカ西海岸ケープ地方
花期間 種類によって違うが10月〜3月
別名  アフリカヒヤシンス
 ラケナリアは100種類ほどがあり、交配でも多くの品種が作り出されています。
 花色は豊富で白、黄、赤、青、茶色などがあり、複色やグラデーションになったものなどとても美しい花があります。
 葉には独特の斑紋・油点などがあるものもあり、観葉植物としても楽しめます。


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桜 鍋

馬 さ し


ナマケンシス
奇跡の星植物館

馬肉のロース肉やモモ肉を薄く切ったもので、味噌味の鍋にして食べるのが昔ながらの桜鍋ですが、最近はスキヤキと同じ方法で食べたり、出し汁を使った寄せ鍋風(味噌は少量)で食べたりするのが多くなってきています。これは使用する馬肉の質が向上し臭みがほとんどなくなってきているからでしょう。使用する肉が、牛肉か豚肉かの違いと同じように、そんなに気にされなくなってきたのだと思います。したがって、調理方法はスキヤキや寄せ鍋と同じということで、ここにはレシピを書きませんが、自分の家の味をつくってください。

ラケナリア アロイデス・クアドリカラー
京都府立植物園にて 2008年2月11日

またタルタルステーキも美味しいので是非挑戦してください。ユッケ風にして食べるのも
とても美味しいですよ。

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味の華